米政府の「黄金株」拒否権とは?日本製鉄のUSスチール買収を解説
国際
2025年06月16日 15:39
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米政府の「黄金株」拒否権とは?日本製鉄のUSスチール買収を解説
【ニューヨーク=小林泰裕】日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収する計画に関連して、米国のラトニック商務長官が14日に重要な発表を行いました。今回の発表では、米政府が保有する「黄金株」による拒否権の具体的な内容が明らかにされました。この「黄金株」とは、特定の企業の経営に対して強い影響力を持つ株式のことを指し、通常の株主にはない特別な権利を付与されているものです。
「黄金株」の目的と背景
米国政府が「黄金株」を保有する目的は、国家の安全保障や経済政策に関連する重要な産業を守ることです。鉄鋼業は、国家の防衛やインフラ整備に深く関わるため、特に重要視されています。日本製鉄によるUSスチールの買収は、米国内での鉄鋼供給の安定性や雇用に影響を及ぼす可能性があるため、米政府は慎重な姿勢を崩さない意向を示しています。
トランプ政権の承認とその影響
トランプ前大統領は、この買収計画を昨年承認しましたが、その際に米政府が「黄金株」を保有することが条件となっていました。このため、米政府は日本製鉄の買収が米国の利益に対してどのような影響を及ぼすかを慎重に評価する責任を負っています。ラトニック商務長官の発表は、企業買収の透明性を高め、投資家や関係者に対して安心感を提供する狙いがあります。
今後の展望と課題
今後、日本製鉄とUSスチールの買収交渉が進む中で、米政府の「黄金株」に基づく拒否権がどのように行使されるかが焦点となります。特に、米国の経済政策や鉄鋼市場の動向によっては、買収が認可されない可能性も考えられます。また、他国企業による米国の重要産業への投資が増加する中で、米政府がどのような基準で判断を下すかも注目されます。
まとめ
日本製鉄によるUSスチールの買収計画は、米国政府が持つ「黄金株」による拒否権に影響を受ける重要な案件です。ラトニック商務長官の発表は、買収の進展に関する透明性を提供し、今後の交渉における重要な指針となるでしょう。米国の鉄鋼業界や経済全体に与える影響を考慮しつつ、今後の動向を注視する必要があります。