米政府の黄金株が日本製鉄のUSスチール買収に影響
国際
2025年06月16日 00:13
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米政府の「黄金株」が日本製鉄のUSスチール買収に与える影響
【ニューヨーク=小林泰裕】
米国のラトニック商務長官は、14日に記者会見を開き、トランプ前大統領が承認した日本製鉄による米国鉄鋼大手USスチールの買収に関する新たな情報を提供しました。この発表は、米政府が保有する「黄金株」の拒否権がどのように機能するのかを明らかにする重要なものであり、投資家や業界関係者の注目を集めています。
「黄金株」とは何か
「黄金株」とは、特定の企業に対して政府が持つ特別な株式であり、通常の株式とは異なる権限を有しています。この株式を通じて、政府は企業の戦略的な決定に対して強い影響力を行使することができます。特に、国家安全保障や経済的利益に関わる場合には、この権限が重要な役割を果たすことがあります。
今回のケースでは、日本製鉄によるUSスチールの買収が、米国の国家安全保障にどのような影響を及ぼすかが焦点となっています。ラトニック商務長官は「米国は、我々の国益を守るために必要な手段を講じる」とし、必要に応じてこの拒否権を行使する意向を示しました。
日本製鉄の買収計画の背景
日本製鉄は、USスチールを買収することで、北米市場での競争力を強化し、グローバルな鉄鋼供給チェーンを拡充しようとしています。しかし、米国政府は、外国企業による重要なインフラや資源の取得が国家安全保障に与えるリスクを懸念しています。特に、鉄鋼業界は、国防や経済基盤に密接に関連しているため、慎重な対応が求められています。
このような背景の中、ラトニック商務長官は、米国の企業とその雇用を守るため、外国からの投資に対して厳格な基準を設ける必要があると強調しました。
市場への影響と今後の展望
この発表を受けて、株式市場では日本製鉄の株価が影響を受ける可能性があります。投資家たちは、米政府の動向を注視しており、特に「黄金株」の影響がどのように作用するのかについて関心を寄せています。買収が承認されなかった場合、日本製鉄の北米事業戦略に大きな打撃を与える可能性があるため、今後の展開が注目されています。
また、USスチールの経営陣も、米国政府との対話を進め、買収計画の正当性を説明するための努力を続けるとしています。双方の意見を調整しながら、合意形成を目指すことが求められています。
まとめ
今回のラトニック商務長官の発表は、米国政府が保有する「黄金株」の拒否権が、日本製鉄によるUSスチールの買収計画に与える影響を明らかにする重要なものでした。今後の進展により、米国の国家安全保障や経済政策がどのように変化していくのか、投資家や業界関係者は緊張感を持って見守る必要があります。買収の行方が、両国の経済関係にも影響を及ぼすことが予想されるため、注視が必要です。